限界を認めない
SingularityU Tokyo Chapterに行ってきました
Singularity University(以下SU)って?
レイ・カーツワイルとピーター・ディアマンディスが創った教育機関です。
アメリカはカリフォルニア州のNASAリサーチパークを拠点に、世界の難題を解決できるようなリーダーを育てることを目的としています。
Our mission is to educate, inspire, and empower leaders to apply exponential technologies to address humanity's grand challenges.
ホームページより
このSUから誕生した企業としては、
- REBEAM:レーザービームでエネルギーを伝送
- MATTERNET:ドローン輸送
- MADE IN SPACE:宇宙でモノを創るソリューション
などがあります。どれも規模が大きい・・・。
僕は去年11月に開催されたAI, Robotics and Beyondに参加させてもらったことでSUを知りました。
思ってたよりも、"シンギュラリティを信じるかどうか"といった議論ばかりではなく、"世界10億人にインパクトを与える"ことを如何に実現するかという話題や事例が多い印象でした。
東京Chapter初のミートアップ
昨日8月4日(金)のアジェンダは、
でした。
1.はSUの説明、2.は北野さんによるグローバルインパクトチャレンジに関する講演、3.は何故ソニーがSUの日本チャプターのスポンサーになったか、という内容。
今回のブログでは、2.の中でも面白いなと思ったことをいくつかシェアしたいと思います。
ソニーCSLの行動原理
Act Beyond Borders(越境し行動する研究所)
Think Extreme
実際に行って、目で見ないと実感できないことばかり、アイディアも生まれない。
その実例として、、、
ドバイの砂漠では湾岸地域の海水が蒸発し、毎朝1M〜5Mの濃い霧が立つらしい。
その光景を見た北野さんは、Natureに2001年に掲載された論文を思い出したそう。
- ナミブ砂漠のカブトムシは滅茶苦茶乾燥が凄い中、朝の霧から羽を使って水を集め、その水分を羽に貯めておき、喉が乾くと羽を伝って水分を摂取する。
- その羽は超親水性の層と超撥水性の層で成り立っていて、それが故に水分を収集・貯蓄しておくことができる。
そして、その技術を使ってネパールの山の上などのほぼ水の無い所に、このカブトムシの羽の巨大版のようなメッシュ構造の網を貼り、水を作る装置を展開しているNGOがあるらしい。(参考:砂漠の虫からヒントを得た置いておくだけで空気中から水分を集められる装置 - GIGAZINE)
そういった技術を始めとして、実際に行ってみないと気づけ無いことは多い、とのことでした。
また、国・分野を超えてActすることで初めて価値になるものがあるといった言葉もその通りだと思いました。
RoboCup
西暦2050年「サッカーの世界チャンピオンチームに勝てる、自律型ロボットのチームを作る」
ロボカップとは | ロボカップ日本委員会 RoboCup Japanese National Committee
という、今や世界400チーム、参加者1万人、床面積5万平米を使う大会になっているそうです。
最初の大会ではほぼ動かないロボットのサッカーだったのが、今や人間チームも勝てなくなっている動画を見せて頂きました。
次の課題として、ヒューマノイドで如何にサッカーをさせるかがポイントだそう。
面白いなと思ったのは、このプロジェクトを通じて、
- 災害用ロボット(世界同時多発テロや福島原発事故に実際に投入)
- 科学・技術教育(RoboCupJunior)
- KIVA System(AMAZONに買収された自律型倉庫内物流ロボット)
- ALDEBARAN(ソフトバンクが買収し、Pepperが生まれた)
が生まれたということ。
ムーンショット型で意欲的な目標を決め、そこにチャレンジしていく中で、自然と革新的なチェーン・リアクションが起きているんですね。
- Huge problem
- Radical solution
- Breakthrough technology
の3つの条件が重なるXにチャレンジする、という"Google Solve for <X>"の中で革新を生んでいるそうです。
世界中に旅行に行こう
- インドだけとっても、一日3,000人が汚れた生活水のせいで死んでいる
(ボーイング777が15台毎日落ちているのと一緒) - グリーンランドでは、猟師は氷が溶けたせいでアザラシが狩れなくなり、漁師は氷が溶けたおかげで一年中漁ができるようになった。
(気候変動によってWinnerとLoserが生まれている) - フィリピンのスラム街の人々の無力感漂う目
(北野さんにそう見えただけかもですが)
そんな世界を北野さんが目で見た時、なんとかしなきゃいけないと感じたそう。
ただ、そんな途上国の人たちが全員今の先進国のように化石燃料を使いまくれば、世界の資源が無くなって地球が終了してしまう。
その現実に直面した時、ソニーCSLは、分散型のエネルギー開発によってサステナブルでアフォーダブルなエネルギーを途上国への提供を進めたそうです。
参考:CSL Open House 2015:「Power to the People」 吉村 司 – Sony Computer Science Laboratories, Inc.
以上の経験から、北野さんは、やりたいことが無いという学生には「世界を見に行け。行って自分で見ればきっとやりたいと思えることが見つかる。」「日本という満たされた社会にいても、欲しいものややりたい事が見つけられなくて当然だ。」と言っているとのことでした。
自分の限界を破る機会
僕にとって、SUのカンファレンスやミートアップに参加するのは凄く良い機会になっています。
どうしても目の前のことに頭も手も一杯になってしまい、自分の可能性や思考に蓋をしてしまいがちですが、SUの空気を吸うことでその蓋を外せると感じています。
地球規模に大きくて、自分には実感も湧きづらいことに脇目もふらず一生懸命になっている人達の話を聞くと、ガーンと頭を殴らたような、「俺もスゴイことするぞ!」と気合が入るような、少年になったような気落ちになれます。
今後月1でやっていくそうなので、もし興味があれば参加されてはいかがでしょうか。
次回は、SUで聞いたマシンクリエイティビティについて考えたいと思います。