機械による創造、感受性の再定義
ビートルズ風の曲をAIが創る
SU(詳しくは前回のブログを参照)で北野さんからマシンクリエイティビティについても話がありました。
昨年9月、Sony CSLから"ビートルズ風"の曲が発表されました。
約1.3万曲の様々な曲を機械学習した"Flow Machine"というオリジナルのAIソフトに、更に50曲程のビートルズの曲をスタイルとして機械学習させ、ほぼ自動生成された曲です。
「AIはクリエイティブなことはできないから、人間にはクリエイティブな仕事が残る。」
というのは良く聞く話ですが、この曲を聞くと最早クリエイティブの分野も人間だけの仕事では無いことを飲み込まざる得なくなります。
また、今回の北野さんの話で面白かったのは、「AIはビートルズが発見できなかった、"ビートルズ風"を見つけた。」ということです。
それを聞いた時、ちょっとジャンプしますが、「人間が認識できない音と感覚・感性を結びつけてAIがクリエイティビティを発揮したらどうなるんだろう」と思いました。
人間が認知できないものをAIは認知する
ちょっと話はそれますが、人間の認識には限界があります。
AIによる画像認識
以前AI, Robotics And Beyondで北野さんが見せてくれた画像は、以下のような画像三枚。(イメージです。)
記憶が曖昧ですが、
「何に見えますか?実はこれ、ペンギンとキリンとゾウです。動物の写真に特殊処理をかけたものです。この差は人間にはわかりませんが、AIだと認識できるんです。」
その言葉は衝撃でした。AIは人間の認識を余裕で凌駕している!と思いました。
↓ 参考
聞こえない音
モスキート音が大人に聞こえないのは有名な話ですが、人間に聞こえない音・周波数帯はその他にももちろん有るわけです。
コウガミ:人が感動する音楽をテクノロジーが演出できるとしたら、今後はどんな領域に期待したいですか?
小室さん:圧縮技術ですよねえ。周波数帯を間引いて、聞こえない部分はカットしているので、どんどん聞こえるところだけでよくなってきてしまっている。だけど、もしかしたら、人間の耳には聞こえない、カットされている部分が、音楽を長く記憶するための大事なエッセンスなのかもしれない。
小室哲哉スペシャルロングインタビュー:21世紀の始まり、そして音楽とテクノロジーで感動を共有させる、デジタル音楽の未来図とは?(後半) | All Digital Music
最近作曲や編曲についてSPiNE GROOVEのメンバーからちゃんと聞くことが多いんですが、人間の耳で聞こえない領域をカットして、音の豊かさや大きさを増やす作業をするそうです。
ただ、この豊かさや大きさというのは"人間の聞こえる音"の話であって、聞こえない音の果たす役割も本来は有るはずだ、というのは作曲家やミュージシャンの共通認識なのかなと思います。
AIであれば、人間には聞こえない周波数帯と人間の感受性の、新しい関係を見いだせるかもしれない。
(というかもう研究されてて、既に見出されてるかもしれない。)
人間の認識の先
"人間が認識できないモノ"と"人間の感覚や感性"には関係性が有ると信じています。
またそれが見出されると、感受性は再定義され、新しい音楽・体験が生まれていくはずです。
- 人間が聞こえない音・周波数によるリラクシング効果が認められて、サイレントヒーリングみたいなものが生まれるかもしれない。
- 人それぞれの感性や好みに応じて動的に曲が変わるダイナミックメロディも生まれるかもしれない。
- 今では不協和音と思われるような音でも、一連の曲を通すことで、もしくはある環境を選ぶことで感動を呼ぶような新しいパッケージコンテンツも出て来るかもしれない。
- etc...
AIのクリエイティビティの議論やシンギュラリティのタイミング予測をするのもある意味楽しいですが、消費者として、人間がAIと創る新しいコンテンツの可能性を考えて、それ以上にワクワクしています。
凄く楽しみだし、自分もそんな革命のシーンに身を置いておきたい。
最後に、最近出会った記事が凄く面白かったので紹介します。
てかこのFUZEってメディアにはまっています。笑
今、音楽で人間のアイデンティティや新たな創造を考える、一つのヒントを示唆している気がします。
激動の時代に生まれたことに感謝して、引き続き楽しんでいけるよう、今をもっと楽しんで行きましょう^ ^!