音楽 × IT
音制連主催のセミナーに参加してきました
先週金曜日、日本音楽制作者連盟、通称音制連主催のセミナーに参加してきました。
そこで、音楽制作事業従事者、特にアーティストのマネージャー向けのITサービスの活用方法をインプットしてきたので、例によって議事録をブログに^^
テーマ1:「マネージャーが今日から使えるITサービスセミナー」
YouTube Music、新しい機能・施策について
(音楽担当責任者:佐々木舞さん)
▼YouTube Musicサービス概要:YouTubeの新しい音楽サブスクリプションサービス
- 有料会員(980円/月)は広告無し、オフライン、バックグラウンドで再生できる
- 楽曲に加えてビデオコンテンツを展開
- YouTubeとは一線を隠すUI/UXの専用アプリ「YouTube Musicアプリ」がリリース
- YouTubeのアカウント情報を引き継ぐ
▼YouTubeならではの強み
- 5000万人を超える既存利用者
- 世界規模でのサービス展開のため、世界のオーディエンスにリーチできる
- Googleならではの圧倒的な検索性
▼新規機能
- 公式アーティストチャンネルOAC
ー 動画以外のテキストや画像も投稿できる
ー 検索した際にランキング上位に表示される - YouTube上での楽曲ランキング
- 「この動画の音楽」(クレジット)
同時に、YouTube Premiumという動画の有料サービスもリリースされるようです。
niconicoの紹介
(事業戦略本部副本部長:織本五郎清健さん)
niconico=ネットとリアルが融合した「プロモーションプラットフォーム」
ネットだけではなく、リアルのイベントやカドカワグループとのシナジーによって、総合的なプロモーション提供を目指す。
▼ユーザー情報
- 無料ID数:7,222万人
- 有料(540円/月)ID数:207万人
- 男性68%、女性32%
- 20代が40%で一番多い
- MAU:816万人→1,754万人
(最近無料会員でも見られるようにしたことで飛躍的に向上)
ユーザー数だけ見るとマスメディアに見えますが、ニッチマーケット(アニメ、踊ってみた、演奏してみた、など)の集合ということで、アーティストにはターゲットを選定して提案されているようです。
また、生放送をniconicoが制作する場合、"アーティストに感情移入する『余白』と『ストーリー』を作る"ことを重視されており、それによってユーザーのツッコみを促し、エンゲージメントを向上させるとのこと。
mystaの紹介
(社長:森川亮さん)
▼mystaサービス概要:C Channnelのノウハウを使ったエンタメSNS
- キャストに向けて複数テーマを用意
- ライブでは無く、オンデマンドのショートビデオ形式でチャレンジ動画を投稿
- ユーザーが"チア"という☆を飛ばして応援
- 人気キャストはリアルイベントで様々なメディアや広告などの出演権利を獲得
▼ポイント
- Tik Tokのトレンドに合わせた非ライブのショートビデオSNS
- アーティストとしての成功に導線を用意
ー オーディション
ー クラウドファンディング
ー テレビや雑誌などのメディアとタイアップ
(お金を儲けたいから参加するではなく、夢を叶えたいから参加する) - ユーザー(キャストで無く見る側)は意外と女性が多い
bandsintownの紹介
(アジア事業開発責任者:林田千義さん)
bandsintown concerts = 好きなアーティストのコンサートをトラッキングできるアプリ。
日本では7月に本格ローンチ予定。
▼サービス概要
- 音楽ストリーミングアプリと連携
- ユーザーの音楽嗜好をデータで読み込み、ミュージックDNAを解析
- ミュージックDNAと位置情報を用いて、コンサートをレコメンド
- チケットぴあでチケットの購入が可能
bandsintown = アーティストマネージャー向けアプリ
FBの公式ページのAdmin権限があるとアクセス可能で、ツアーのLP生成やbandsintown concerts上のツアー情報の変更が可能。
Showroomの紹介
(社長:前田裕二さん)
上位パフォーマーは月商1,000万以上の収益を立てている。
▼特徴
- 生配信に特化(アーカイブを見せないことで、ユーザーと演者のコミュニケーションを盛り上げる)
- オーディエンスを可視化:視聴するのではなく、空間に存在する
- ストーリー創出:月間にオーディションが300個くらい行われている
└ TVに出ることが目的ではなく、競争の過程でファンがコアになっていく
日本での動画配信アプリの直接課金収益はショールームが日本1位。
▼成長背景
- 強固なアライアンスでトップコンテンツとの連動
- 徹底した定性・定量分析による「ヒット」の科学、演者アクティビティの最大化
(カルテを見せてあげることで、演者を理論的に動かす) - セミUGC:信頼と支え合いの連鎖
(完全素人ではなく、オーガナイザーにマネジメントを託した)
SHOWROOMはマネジメントは捨てて、プラットフォームに徹したことで、成長することに成功した。
芸能プロダクションととの協調、協業は今後も強めていく。
▼エンタメ・ビジネスは第3世代へ
- "パッケージ" = モノ・コンテンツ価値:✕ 複製可能
- "ライブ興行・グッズ販売" = モノ×ヒト体験価値:△ コスパ問題
- "直接支援モデル" = ヒト共感価値(リアルドキュメンタリー):◯ 無限の広がり
直接支援モデルの例として、おにゃんこクラブに入りたかったちずるさんという方の例が挙げられました。
彼女は、そのストーリーの共感からファンを増やしたみたいです。
▼前田さんがやりたいコト:努力がフェアに報われる社会を創る
具体的には・・・
- マスのような「認知」市場だけでなく、ヒカキンのような「人気」市場にチャレンジする
- トップタレントだけではなく、新人の子たちに新人だからこそ促せる共感でファンを増やす
一つ目に関連して、更新頻度・ファンとのコミュニケーション量とファン数は完全に相関することをShowroomは発見したそうです。
二つ目に関しては、"得意な能力を見極めて、適材適所で活躍してもらうことが重要"みたいなことを良くおっしゃってました。
外見に自信が無くても、Vtuberなどで演者の個性を輝かせる東雲めぐの事例や、Showroomでは輝きづらかった子が、SHOPROOMで素敵なモノの紹介が上手くて人気が出た子の事例が挙げられていました。
テーマ2:「音楽視点でのスマートスピーカー×プレイリストの可能性」
(音楽コンシェルジュ:ふくりゅうさん)
▼スマートスピーカーについて
- 2017年世界市場規模:390億円 → 2022年:2,275億円
- 世界でのシェアはAmazon、Google、Alibaba、Apple、Xiaomiの順。
2020年にGoogleがAmazonを抜く見込み - Googleが日本だと使い勝手が良い。Spotifyが使えるため
今後、スマートスピーカーネイティブの世代になった時、音楽業界もスマートスピーカーのUXに対応していく必要があることを丁寧に。
▼ プレイリストマーケティングのオススメ
- アーティスト公認で季節やキーワードなどのタグを設定すること
- 楽曲にアーティスト自身による解説を副音声として載せたバージョンの発売
"セルフライナーノーツ"、"情報的価値のある楽曲配信"
▼その他
DropMixというカードゲームの紹介がありました。
これは面白そうでした!買ってみようかな!
まとめ
どんなビジネスでも時流と本流は有り、その二つをどう組み合わせるかが経営者の才だなと感じました。
特に、前田さんが独自マネジメント路線を捨てて事務所との協調路線を強めたタイミングから、ユーザーが伸び、そのファクトをしっかり見つめて協調を強化しているスピード感には刺激を受けました。
僕達も常にビジネスの前線で感じる時流を捉えつつも、地域性や業界の特性をしっかり踏まえて走っていきたいと思います!