これからのクリエイターエコノミー
今回は、クリエイターエコノミーのマーケットで丸四年間ビジネスをしてきた経験を基に、クリエイターエコノミーの変化と未来予測、今後重要になるであろう手法や考え方についてまとめました。
TORIHADAグループの皆さんに是非読んで頂きたい内容になっています。
ソーシャルネットワーク2.0
まずクリエイターエコノミーが前進した大きなきっかけについてです。
2017年にリリースされたTikTokは、革命的なアルゴリズムを浸透させました。
"おすすめ"フィードです。
AIによって、視聴者毎に完全にパーソナライズされたフィードが世界を一歩前進させました。
僕はTORIHADAを創業する前、サイバーエージェントでアドテクノロジーを学びましたが、その時良く話されていたことが、「スマフォのホームはAIによって日々パーソナライズされたレコメンドになる」ということでした。
つまり、AIは私達の選ぶという工程を極めて減らしていくはずで、TikTokはそれを動画プラットフォームとして実現しました。
これは、ソーシャルネットワーク2.0と言ってもいい変化だと考えています。
フォロワーがいなくても、バズが産めるようになったのです。
↑ 僕自身、3000フォロワーくらいだった時のこの動画はまたたく間に100万再生を超え、今では460万再生までされています。
Instagramまでも、デフォルトのフィードはおすすめフィードになっていくと僕は予想していますし、実際にテストされているようです。
ペリー来航
ソーシャルネットワーク2.0とも言える変化によって、様々なことが変わってきました。
中でも大きな変化は、ひろゆきさんが始めて話題となった"切り抜き"です。
今、ものすごいスピードで切り抜きコンテンツが増えています。
ライブ配信やYoutubeのコンテンツを、ファンが好きに切り抜き、TikTokやYoutubeで拡散させるという文化です。
この"切り抜き担当"はまずはファン精神で始めたのだと僕は考えていますが、今では収益を還元するYoutuberも現れ、最早職業として成立しています。
良いコンテンツを不正に転載して悪意的にトラフィックを稼いでいた時代から、合法的に善意で行うことができるようになりました。
また、AbemaTVなどの企業が運営するPGC(プロフェッショナルジェネレイテッドコンテンツ)もTikTokで切り抜きを行っています。
AbemaTVにユーザーを流すために始めたと考えられますが、従来のテレビもすべき行動だと僕は思います。
そうなると、動画プラットフォームには、非常にハイクオリティなコンテンツが黒船のように増殖することになるでしょう。
では、カジュアルな動画は伸びなくなり、インフルエンサーはファンが獲得できなくなるのでしょうか?
いえ、そうではありません。
今後の勝てるコンテンツ
今後の勝てるコンテンツは結論として、
- プロが作る圧倒的なクオリティの動画
- ストーリーが強いカジュアルな動画
の二極性が非常に強くなっていくでしょう。
テレビ局はテレビという媒体を超え、面白いハイクオリティなコンテンツを作る商社として、オムニチャネルに展開していくようになります。
最早テレビ局ではなく"情報商事"のように名前を変える日も来るんではないでしょうか。
そんな世界の中では、インフルエンサーはチームを抱えてテレビと同じようにコンテンツのクオリティで勝負するか、自分のストーリーで勝負するかという戦いになります。
そのストーリーはテレビコンテンツ同様マルチメディアで発信されていきます。
メディアの垣根が薄れることで、インフルエンサー達は、最早Instagramerのようにメディアの名前を冠する存在ではなくなり、"クリエイター"として認知されていくようになるのです。
ストーリーで戦うということ
ストーリーで戦う戦略はクリエイターの人生をドキュメンタリーとして魅せる感覚になります。
taiverdesさんとVictoria Parisさんは非常に参考になるクリエイターです。
二人とも、自分の生活の一部を細かく切り取っています。
taiverdesさんはアーティストとしてチャレンジする様子から、実際に成功して仕事の上司に退職意向を告げる様子まで発信されています。
また、定期的にサマリー動画を配信することで、新たにファンになった人でもストーリーにキャッチアップできるように工夫しています。
Victoria Parisさんは、洋服を選ぶ様子からお出かけまで、非常にカジュアルかつ高頻度に投稿しています。
プライバシーはどこへ行った?という感じですが、このトレンドはソーシャルネットワークの歴史を見ても納得できます。
ソーシャルネットワークの歴史は、虚構またはニックネームから始まり、実名、写真、動画といったように、パーソナルな部分を公開していく過程が見て取れます。
こうなってきた理由として、人間は本来的に承認欲求が非常に重要だからだと僕は考えています。
今は、ストーリーを公開する時代です。
そして、クリエイターエコノミーにおいてストーリーで戦うということは、共感が得られるキャラクターや努力の工程を設計し、それを細かく実行して(見せて)いくことです。
また、ファンがそれらを追体験できる配慮も大事です。
ファンとのインタラクティブな人生を歩む覚悟と言ってもいいかもしれません。
ファンのニーズに答え、ファンに背中を押されながら、ときには批判も受けながら、人生の選択をしていくことになるからです。
自分の人生の境界線が曖昧になるため、リスクや怖いという感情を僕個人としては持ってしまいますが、今後人気になるソーシャルスター達は、それが当然になると予想します。
また、これは従来のタレントもそうではありつつ、テレビ以上に視聴者との双方向性が強いソーシャルネットワークならではの加速度的な変化だと考えています。
だからこそ、アンチコメントは当然今まで以上に社会問題となっていくため、厳しい罰の対象になっていくトレンドなのは合理的だと感じています。
SNS上のひぼう中傷対策強化 侮辱罪に懲役刑の導入 諮問へ 法相 | IT・ネット | NHKニュース
コメントをしっかり削除したり、ブロックしたり、コメントのキュレーションもブランディングにも重要ですが、メンタルケアにも当然大事になってきます。
ちなみに、17Liveなどのライブ配信プラットフォームでは、ファンが新たに来た視聴者に向けて、クリエイターの紹介をしたりしています。
「えーすけさんはじめまして、○○ちゃんは、23歳のママで夢に向けて頑張っています。是非応援してくださいね!」
みたいな感じです。
また、TikTokやYoutubeでは、コメントにイイネやスレッドとしてコメントができるようになっており、エンゲージメントの高いコメントが上位に上がるようになっています。
17liveの例や切り抜きのように、エヴァンジェリスト的なファンを作り、コメントのキュレーションやストーリーのキャッチアップ、マルチメディア化に巻き込んでいくリーダーシップがクリエイターやMCNには求められるようになるでしょう。
クリエイターエコノミーにおけるLTVという視点
今は人類史上類を見ない情報爆発社会です。
そして、流行り廃りがとてつもなく早くなりました。
ネットフリックスは"一気観"という文化を加速させました。
それにより、IPの持ちが弱くなったのです。
そのため、クリエイターと伴走する存在のMCNはクリエイターのLTV(ライフタイムバリュー:稼げる総量)を如何にあげるかに向き合う必要が高まりました。
中でもインビジブルユニバースという会社は非常に面白いので紹介します。
彼らは、インターネット時代のPIXERであると自称しており、様々なデジタルメディアでクリエイター(ソーシャルスター)と一緒にIPを育てています。
例えば、ぬいぐるみをクリエイターのアカウントに度々登場させ、いい乾き(「今日はあのぬいぐるみ一緒じゃないの?」と言ったコメントなど)が得られたタイミングで一般販売したり、アニメーションを作ったり、徐々に投資を増やしています。
彼らはクリエイターのセカンドキャリアを明らかに意識しており、自分が動画を取り続けなくても・プライバシーリスクを抱え続けなくても、IPによって稼げるように導いています。
インビジブルユニバース社のように、LTVの最大化という考え方を如何にMCNが持てるかは重要なポイントになってくるはずです。
まとめ
TORIHADA・そして子会社のPPP STUDIOでは、
等を通じてクリエイターのLTVを最大化していきたいと思います。
それにより、鳥肌が立つ感動で世の中を良くできると信じて。
今回も最後までお読み頂きありがとうございました!